必修基礎編・第1章 理論化学
物質の成分・原子・周期表・分離・半減期
目次
1. 物質の分類
物質は、まず純物質と混合物に分ける。純物質はさらに、単体と化合物に分かれる。
| 分類 | 定義 | 例 |
|---|---|---|
| 純物質 | 一定の融点・沸点をもち、1種類の物質からなる。 | 酸素、水、二酸化炭素、塩化ナトリウム |
| 混合物 | 2種類以上の純物質が混じり合っている。 | 空気、海水、石油、食塩水 |
化合物:エタノール C2H5OH、二酸化炭素 CO2、水 H2O
単体:オゾン O3
混合物:塩酸、石油
2. 単体・化合物・元素
単体:元素記号1種類だけで表すことができる物質。
化合物:元素記号2種類以上を用いて表す物質。
単体:実際に存在する純物質を表す。
元素:物質を構成する基本的な成分を表す。
「元素」と「単体」の判定
| 表現 | 意味 |
|---|---|
| 空気中に窒素が約78%含まれる。 | 実在する N2 を指すので単体。 |
| 過酸化水素は水素と酸素からできている。 | 構成成分を指すので元素。 |
| 骨や歯はカルシウムを含む。 | リン酸カルシウムなどの構成成分を指すので元素。 |
| アルミニウムは地殻中に多く存在する。 | 金属単体ではなく、酸化物などの成分として存在するため元素。 |
3. 同素体
同素体とは、同じ元素からなる単体でありながら、構造や性質が異なるもの。
S:硫黄 C:炭素 O:酸素 P:リン
| 元素 | 主な同素体 |
|---|---|
| 硫黄 S | 斜方硫黄 S8、単斜硫黄 S8、ゴム状硫黄 Sn |
| 炭素 C | ダイヤモンド、黒鉛(グラファイト)、フラーレン、カーボンナノチューブ |
| 酸素 O | 酸素 O2、オゾン O3 |
| リン P | 赤リン P、黄リン P4 |
4. 混合物の分離・精製
分離は混合物を複数の成分に分ける操作、精製は目的物質の純度を高める操作。
ろ過/蒸留・分留/再結晶/昇華法/クロマトグラフィー/抽出
| 方法 | 利用する性質 | 典型例 |
|---|---|---|
| ろ過 | 液体を通すが固体粒子を通さない。 | 砂と水。ろ紙上に砂が残る。 |
| 蒸留 | 沸点の違い。 | 液体混合物から特定成分を取り出す。 |
| 分留 | 沸点の近い複数成分の違い。 | 石油をガソリン・灯油などに分離。 |
| 再結晶 | 温度による溶解度の差。 | 不純物を含む結晶から純物質を得る。 |
| 昇華法 | 固体から直接気体になる昇華性。 | 塩化ナトリウムとナフタレンの分離。 |
| クロマトグラフィー | 固定相への吸着のされやすさ、移動相への溶けやすさの差。 | インク中の複数色素を分離。 |
| 抽出 | 溶媒への溶けやすさの差。 | 緑葉をすりつぶし、溶媒でクロロフィルを溶かし出す。 |
5. 電子配置と最外殻電子
電子は、原子核を中心とする空間である電子殻に配置される。内側から K殻、L殻、M殻、N殻…と呼ぶ。
電子殻に入る最大電子数
内側から n 番目の電子殻:最大電子数 = 2n²
| 電子殻 | n | 最大電子数 |
|---|---|---|
| K殻 | 1 | 2×1²=2 |
| L殻 | 2 | 2×2²=8 |
| M殻 | 3 | 2×3²=18 |
| N殻 | 4 | 2×4²=32 |
配置例
- 酸素原子(8個):K殻2個、L殻6個。
- 硫黄原子(16個):K殻2個、L殻8個、M殻6個。
最外殻電子は、最も外側の電子殻にある電子。酸素も硫黄も最外殻電子数は6個で、似た化学的性質を示す。
6. 周期表・原子半径・イオン半径
周期表の基本
- 横の行:周期。第1周期から第7周期まで。
- 縦の列:族。
- 1族元素のうち水素を除くもの:アルカリ金属。
- 元素記号の左下に示す番号:原子番号。中性原子では陽子数=電子数=原子番号。
- メンデレーエフは当時知られていた約60元素を原子量順に並べ、周期律を発見した。
- 原子量と原子番号の順が逆転する代表例:ArとK、CoとNi。
イオンになりやすさ
- 2族元素:価電子2個を放出し、2価の陽イオンになりやすい。
- 17族元素:電子1個を受け取り、1価の陰イオンになりやすい。
- 18族元素(貴ガス):電子配置が安定し、イオンになりにくい。
原子半径
同一周期では右ほど小さい。
等電子配置のイオン半径
電子数が同じなら、原子番号が大きいほど陽子数が増えて核の引力が強くなり、半径は小さくなる。
O²⁻ > F⁻ > Na⁺ > Mg²⁺ > Al³⁺
7. イオン化エネルギー
イオン化エネルギーとは、気体状態の原子から電子1個を取り去り、1価の陽イオンにするために必要なエネルギー。
| 同族で下へ | 原子番号↑ → 原子核から最外殻電子までの距離↑ → 引力↓ → イオン化エネルギー↓ |
|---|---|
| 同一周期で右へ | 原子番号↑ → 陽子数↑ → 引力↑ → イオン化エネルギー↑ |
同一周期では、一般にアルカリ金属が最小、貴ガスが最大。全元素中ではヘリウムが最大。
8. 放射性同位体と半減期
半減期とは、放射性同位体が壊変し、元の量の半分になるまでの時間。半減期は核種ごとに一定である。
半分になるまでの時間は一定。
炭素14の半減期は約5730年、トリチウム(³H)の半減期は約12年。
初期量 1 → 5730年後 1/2 → 11460年後 (1/2)² → 17190年後 (1/2)³
残量 = 初期量 × (1/2)^(経過時間 ÷ 半減期)
β壊変
¹⁴₆C → ¹⁴₇N + β⁻(e⁻)
³₁H → ³₂He + β⁻(e⁻)
β⁻壊変では原子番号が1増えるが、質量数は変化しない。
炭素14による年代測定
- 宇宙線が大気中で中性子を生じる。
- 中性子が窒素14に衝突し、炭素14が生成する。
- 大気中では炭素14の生成量と壊変量がほぼ釣り合い、存在比がほぼ一定。
- 植物は光合成により炭素14を含む二酸化炭素を取り込む。
- 枯死後は取り込みが止まり、炭素14だけが壊変して減少する。
- 残存割合から枯死後の経過時間を推定する。